
雪室について
Yukimuro

雪室は古来から雪国の知恵として伝承されてきた天然の冷蔵庫です。
「栗を冷蔵貯蔵するのであれば、電気冷蔵庫でもいいのでは?」
というご質問をいただくことがあります。
でも、答えは「雪室が栗の貯蔵に優れている」です。
それは冷蔵庫としての雪室には、3つの大きなメリットがあるからです。
雪室に栗を貯蔵する理由
1.電気を使わない
雪室の冷熱源は冬に降った雪です。雪を蓄え、エネルギー源とするため電気を使いません。CO2も出しません。
雪は以前は「雪害」をもたらす厄介なものと考えられてきましたが、雪室は「利雪」という発想でエコエネルギーを利用しているのです。

2.低温多湿である
栗を貯蔵する雪室は室温1度、湿度99%の環境です。特にこの湿度の高さが特長です。一般の電気冷蔵庫は平均で湿度40~50%といわれています。湿度が非常に高いので乾燥を防ぐことができ、鮮度が保たれるのです。
3.温度や湿度変化が少ない
雪室の温度湿度は上記の室温1度前後、湿度95%以上の環境が1年中ほぼ変化なく保たれます。
電気冷蔵庫はサーモスタッドのオンオフにより5度くらいの温度上下が繰り返されます。同時に湿度にも増減が発生します。
雪室の温度湿度の安定は貯蔵される食品にストレスを与えません。ストレスが少ないことも鮮度維持に大きく貢献しています。
なぜ雪室熟成栗は甘くなるのか?
栗のシーズンは9月中旬から10月中旬が一般的です。その期間に普通にスーパーマーケットなどに出回る栗の糖度は10度前後のものが多いです。それに比べ、雪室で数か月熟成させた栗は糖度20度を超え、なかには25度以上になるものも少なくありません。
なぜ糖度が上昇するか?それは栗のでんぷん質が糖化するからです。食物が寒さによって凍らないようにするため、でんぷんを糖化する現象は他の穀物や野菜でも発生しますが、栗は鬼皮と呼ばれる外側の硬い皮があるため、数か月の長期保存が可能となります。
無農薬の栗こそ雪室熟成にぴったり!

iLocalが雪室熟成する栗は無農薬栽培されたものです。
無農薬だと虫がいるのでは?と心配される方もいらっしゃると思います。
実は「栗の匠」伊藤さんの栽培方法だと虫の発生を大きく抑制することができます。栗が健康で大きく育つため、イガも分厚くなるため、虫の卵が栗の内部に達しないからです。
また、雪室熟成栗は燻蒸処理を行わない生栗を貯蔵します。燻蒸処理とは栗の中の虫や卵を殺すため、殺虫効果のある薬剤を含んだ蒸気を浸透させる処理です。無農薬の栗に燻蒸処理をしてしまったら無農薬の意味がなくなってしまうのです。
無農薬で燻蒸処理も行わないのですが、雪室熟成栗からは虫が発生することはほとんどありません。
理由は
・虫の発生を抑制する栽培方法を行っているので、そもそも虫が少ないのです。
・収穫した栗はすぐに水漬け検査され合格したものだけを選んでいます。検査により虫食いや傷んだ栗を省いています。
・恵那、四万十どちらも収穫日の翌日には雪室に届き、すぐに貯蔵されます。1度前後の低温で数か月貯蔵されるため、燻蒸処理をしなくて虫や卵が死滅します。